聖書から「ヨナタンのすばらしい愛」

「ダビデがサウルと語り終えたとき、ヨナタンの心はダビデの心に結びついた。ヨナタンは、自分自身のようにダビデを愛した。」　　　　　　　　　　　　サムエル第一１８章１節

　聖書でヨナタンほど立派な人格の人を他に見ることができません。彼はイエス様のような愛の人と呼ばれています。ダビデがゴリヤテとの一騎打ちの戦いで勝利した後、サウル王は彼を召し抱えました。王の子であるヨナタンはダビデの活躍を目の当たりにして、神様がダビデとともにおられることを悟りました。ヨナタンの心はダビデの心にしっかり結びつき、自分と同じほどにダビデを愛したと記されています。ヨナタンとダビデは生涯の友となったのです。

　彼らの友情はヨナタンの父サウル王によって試みられましたが、決して彼らの結びつきは壊れなかったのです。サウル王は「ダビデが万を打ち、サウルが千を打った」と囃し立てている民衆の言葉を聞いたとき、ダビデに対して嫉妬し、また恐れを抱きました。サウル王のダビデへの猜疑心は大きく膨らんで、ダビデを殺そうと何度も試みました。ついにダビデはサウル王のもとから逃亡し、国中を逃げ回り、敵国ぺリシテ人の地に身を寄せることになったのです。

　ヨナタンは父への忠誠心とダビデへの友情の狭間で試みられたが、決してダビデを裏切ることはなかったのです。彼は長男として王位を継承する立場にありましたが、神様がダビデをイスラエルの王として選ばれていることを悟り、神様の御心がなることを願ったのです。彼はダビデの次で良いと受け入れました。彼のダビデへの愛は彼が持つすべてのものを、王位さえも与えたのでした。彼はダビデとの関係の中で何か受けることを求めたのではなく、むしろ愛するダビデに何を与えることができるだろうかと考えたのです。

　争いが絶えないこの世界の中で、ヨナタンとダビデの関係は他に見ることができない麗しいものであって、それは人間の愛ではなく、神様から来る真実の愛に基づくものであったことが分かります。私たちもこのような関係を築き上げることが神様の御心なのです。（牧師　笠川徹三）