聖書から「愛は敬うこと」

「 礼儀に反することをせず、自分の利益を求めず、怒らず、人のした悪を思わず、」            コリント人への手紙第一13章5節

 電車に乗ったときのことです。優先席が空いていたのでそこに座りました。隣に若者が、その隣に婦人が座っていました。停車駅で、私より年配の方が乗ってきたので、私は席を譲ろうと、座るように合図を送りました。その方が近づいてきたとき、隣の若者が立ち上がりました。私が席を譲ろうとしたのですが、若者の行為に感謝しました。次の停車駅で、また年配者が乗ってきたので、今度は私の席に座ってもらいました。お年寄りが立っていても、平気な顔で優先席に座っている若者たちを見ることがあります。愛は礼儀に反することをせずとあります。これは他の人を敬うことを意味していると思います。これからの私たちの社会は礼儀知らずになるのではないかと心配です。

 さて、敬うとはどういうことかと言うと、それは他の人に対して栄誉、価値を与えることです。私と出会い、関わる人々が良い気持ちになり、高められたように感じるとき、私は相手を敬っていることになるのです。もし私との関わりを通して、その人が悪い気持ちになったとき、それは礼儀に反し、無礼であったことになります。私の願いは、私と関わるすべての人が良い気持ちになることです。これは私にとって大きなチャレンジです。

 敬うことの実践的な取り組みは何かと言うと、それは相手の話を聞くことです。自分ばかり話すことは無礼な態度と言えます。他の人の話を途中で中断させ、自分の話を始めることも礼儀に反することだと言えます。話好きな私としてはこれもよくよく注意しなければならないことです。聞くことの中には、たとえ相手が話していなくても、その目、表情、振る舞いに関心を払い、相手が何を言おうとしているかを聞く態度も必要だと思います。愛は敬うことです。また礼儀に反することしないことです。私たちと関わる人々が良い気持ちになり、高められたと感じられるように努めていきたいと願っています。(牧師 笠川徹三)