聖書から「謙遜こそ偉さへの道」

「あなたがたのうちで一番偉い者は皆に仕える者になりなさい。だれでも、自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされます。」マタイの福音書23章11~12節

 イエス様は謙遜さこそ偉さへの道であると言われました。偉さとは自分を低くすることです。自分を高くするとは、自分でうまくやっていけると高ぶることです。謙遜な人は「神様。私は自分の力でやることはできません。あなたの助けが必要です。」と祈る人です。神様はこのような人を高くされるのです。

 私は自分の人生を振り返ってみて、謙遜であり続けることがいかに難しいかを教えられてきました。私は苦しみに会ったとき、自分の力の限界を知り、必死で神様に祈り、助けを求めます。神様は私をあわれんでくださり、その苦しみから救い出してくれます。それは大きな感謝です。ただ神様のみ名をほめたたえるばかりです。人々に対しても謙虚であり、感謝に溢れます。しかしその祝福の中で順調に生き始めると、少しずつ傲慢の芽が出てきて、だんだん自分の力を誇るようになります。あたかも自分でその立場を獲得したかのように錯覚するのです。ついに自分の立場や環境に対して不満や不平を言い出し、他の人々を裁き始めるのです。私たちは苦しみの中では謙遜ですが、順調なときは、謙遜であるために格闘しなければなりません。

 ペテロは他の弟子たちが偉さを競い合っていたとき、「私はイエス様の次に偉い。」と自負していました。しかしペテロはイエス様の十字架の前で、3度、イエス様を知らないと否む惨めな体験をしました。その後、再び復活のイエス様に出会い、立ち直らされたとき、ペテロは自分の力の無さを知り、真にイエス様により頼む人に変えられました。この出来事はペテロにとって生涯忘れることができないものになりました。ペテロは繰り返しこの体験を思い起こし、痛みとともにイエス様の大きな愛を覚えさせられたのです。彼は挫折を体験することによって謙遜にさせられ、真の指導者に変えられたのです。(牧師 笠川徹三)