聖書から「親を敬うこと」(2)

「 あなたの父と母を敬え。あなたの神、主が与えようとしておられる地で、あなたの齢が長くなるためである。」出エジプト記20章12節

 親を敬うことは人間関係の基本の戒めです。神様がこの戒めを私たちに与えてくださっているのは神様のご配慮です。私たちは親子関係から人生を始めるのです。そのスタートはきわめて大切です。その後の人生のあり方は、このはじめの親子関係に大きく左右されています。そこで躓くとそれからの友人関係、夫婦関係、親子関係に躓いてしまいます。今夫婦関係や親子関係でトラブルになっているとしたら、それは元をただせばはじめの親子関係に遡るのです。現在の関係が過去の親子関係によって影響を受け、現在の相手との関係においてトラブルを起こしているとしたら、それはとても残念なことです。親を敬うことの命令は親子関係に躓きやすい私たちに与えられている神様のご配慮なのです。この命令に従う鍵は、親を赦すことです。親も自分の親から傷つけられたのです。人間は罪深く、弱さに満ちていて、愛する者をさえ傷つけてしまうのです。子として、自分も同じ弱さを持つ者として親を赦し受け入れる作業をすべきです。

 さて、親を赦し受け入れ、敬うことは、人間の自然な力ではできません。神様の出番がそこにあるのです。私が体験したことですが、教会の礼拝に出席し、神様の御前に出たとき、はじめて自分の罪深さが分かりました。神様の光りに照らされて、はじめて自分の暗闇が理解できました。親を非難している自分自身が同じことを他の人にしていたのです。神様がそんな私をも無条件で受け入れ、愛してくださったことが分かりました。神様の愛が分かったとき、親の弱さが理解でき、その親も神様が赦してくださっていることが分かったのです。気が付いてみたら、親への憎しみと怒りから解放されていました。親を赦せないとき、大切なことは神様の赦しの中にどっぷりと浸かることなのです。私たちは親子関係というはじめの関係において、親を通して人間とは何者かということを学ぶのです。(牧師 笠川徹三)